第6回 在宅医療勉強会を開催しました

No6在宅医療の勉強会
第6回 在宅医療の勉強会を開催しました。

平成27年2月19日(木曜日)の午後8時から9時に、江南厚生病院講堂で開催しました。
当日は52名の医療・介護従事者にご参加いただきました。
勉強会のテーマは、「在宅での排泄管理」と題して、ながお在宅クリニックの長尾強志先生にお話いただきました。
長尾先生からは、実際の事例を多く交えながら、排泄の管理のうち特に排便の管理や便秘に関する知識について詳しくお話しいただきました。先生は、「便秘の人は単に便を出せばよいということではない。その人の環境に配慮した排泄管理が大切である」と強調されました。

No6在宅医療の勉強会
 
 
参加者からは、「日ごろ便秘に対する詳しい勉強ができる機会がない中、とても有意義な時間をいただけました」「便秘薬の正しい知識を理解できました」といった意見を頂きました。

2015.2.19 在宅医療勉強会<第6回> まとめ
テーマ 在宅での排泄管理 ~自己導尿、カテーテル管理~
講 師 ながお在宅クリニック  長尾 強志先生
知 識 1.便秘の種類

急性便秘 機能性便秘 一過性便秘、急性偽性腸閉塞、機能的イレウス
器質性便秘 機会的イレウス(大腸癌、癒着等)、腸ねん転
慢性便秘 機能性便秘
過敏性腸症候群便秘型
症候性便秘 神経疾患、内分泌・代謝疾患、膠原病
薬剤性便秘 抗うつ剤、過剰な止痢薬
器質性便秘 クローン病、術後狭窄、腫瘍性狭窄

出典:三浦総一郎ほか:「便秘の病因、病態、便秘の薬物療法」日比紀文ほか(編)協和企画

2.ブリストル便形状スケール:Bristol Stool Form Scale

形   状
固くてコロコロの兎糞状の排便困難な便
ソーセージ状であるが固い便
表面にひび割れのあるソーセージ状の便
表面が滑らかで柔らかいソーセージ状、あるいは蛇のようなとぐろを巻く便
はっきりとしたしわのある柔らかい半分固形の便
境界がほぐれてふにゃふにゃの不定型の小片便、泥状便
水様で、固形物を含まない液体状の便

3.慢性便微笑患者の排便に関する三大症状(第一愁訴)
 1)排便回数減少(第2位)
 2)排便困難感(第1位)
 3)残便感(第3位)

4.便秘症状患者の服用刺激性下剤の常用の影響に注意
 ・メラノーシスコリの出現
 ・大腸形態の変化
 ・ハウストラ消失(注腸造影所見)

5.便秘の原因となる薬物がある
 ・麻酔薬
 ・抗コリン作用を持つ薬剤
 ・陽イオン含有薬

6.便秘の概念
 ■日本消化器病学会
 「便秘症」では、排便が数日に1回程度に減少し、排便感覚不規則で便の水分含有量が低下している状態を指すが、明確な定義は無い。

 ■一般に
 ・排便の「頻度」「便形状」「排便時の気分」「排便後の気分」などの状況を総合し評価

7.慢性便秘の診断アルゴリズム
 資料参照

8.便秘治療薬の主な成分

一般名 代表的な製品名
酸化マグネシウム マグラックス、マグミット
センナ、センノシド、ピコスルファートナトリウム アジャストAコーワ、ヨーデルS、プルゼニド、 アローゼン、ラキソベロン
ビサコジル、カルボキシメチルセルロース テレミンソフト、バルコーゼ
ジオクチルソジウム、スルホサクシネート ビーマス、ベンコール
ダイオウ、カンゾウ ツムラ大黄天草湯

9.便秘の警告兆候
 ・最近発症した便通異常
 ・体重減少
 ・大腸がんの家族歴
 ・直腸出血
 ・50歳以上

10.便秘の対処療法
<第一段階>
 ・生活習慣と食事指導
 ・便秘を誘発する薬剤の中止または減量
 ・繊維または膨張性下剤の投与
<第二段階>
 ・浸透圧性下剤の投与
 ・新薬のルビプロストン、リナクロチドは小腸からの水分分泌を促して便の水分含有量を増加させる。
 ・プルカロプリドは欧州で認可されている
<第三段階>
 ・刺激性下剤、浣腸、消化管運動賦活薬の投与
 ・刺激性下剤は頓用使用のみで、経口または座剤として投与され大腸運動を促進する
 ・消化管運動賦活薬は連用使用で大腸運動を促進する

コスト 医療保険の診療
事例紹介 事例1>87歳男性 要介護3
 ■主病名:アルツハイマー型認知症にてA施設入所中
 ■ADL:自力移動可能
 ■身体所見:腹雑音正常~亢進、外痔核あり
 ■内服薬:マグミット3錠 1日3回
 ■状 態:数週間前から弄便出現
 「弄便」とは・・・ 
 ・勝手にオムツを外し、室内や衣服にお漏らしをしてしまう。
 ・汚れたオムツをはずして隠し、布団や衣類を汚す
 ・オムツの中に自分の手を入れてしまい、排せつ物が手に付着する
 <対 策>
 ・まずは「叱らない事」
 ・オムツによる不快感を無くすため、小まめに交換する
 ・介護者が認知症の家族会などに参加し、他の人の対処法を聴くのもおすすめ
 ・トイレやポータブルトイレへの誘導をできるようにする

事例2>79歳女性 要介護2
 ■主病名:アルツハイマー型認知症
 ■ADL:日中廊下を歩きまわる程度
 ■身体所見:腹雑音正常~亢進
 ■内服薬:ソルダナ(12)2錠 1日1回 寝る前
 ■状 態:便は3日に1回。排便時に腹痛を伴う残便感あり
 <対 策>
 ・ソルダナを中止、マグミット(500)2錠開始
  →1週間後から毎日排便
   便秘の原因は、便秘薬

事例3>68歳女性 要介護2
 ■主病名:慢性関節リウマチ
 ■ADL:日中車いす生活
 ■身体所見:腹雑音低下
 ■内服薬:トラムセット導入後に毎日あった排便が3日に1回へ
<対 策>
・薬剤変更で改善

事例4>91歳 要介護4
 ■主病名:胃癌末期状態
 ■ADL:ベット上
 ■身体所見:腹雑音正常~亢進
 ■内服薬:マグミット(330)2錠
 ■状態:毎日泥状便。仙骨部に褥瘡を認める
<対 策>
 ・酸化マグネシウム中止
 ・訪問看護による摘便
 →便は5日に1回。褥瘡は改善
  便の出方も大事。その人の環境に考慮した排便管理が重要

質疑応答
備 考
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